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第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(21)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(21)


○岡田宗司君
  そうすれば、やはり総理は他国の核のかさのもとに入る、こういうお考えはないと、そうしてむしろ逆に、世界の軍縮会議を促進する、そうしてその世界の軍縮会議によってもしそれが成功して、核爆発実験も全面的に禁止され、核兵器の製造、所有、運搬、貯蔵等もなくなり、そうしてそれによって核戦争の脅威がなくなることを念願されておる、そう解してよろしゅうございますか。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  大体同じことじゃないかと思いますが、私は核兵器というものを本当に心から憎みますし、またかような意味で、ただいままでのところ不十分だとはいえ、部分的核実験禁止の条約にも私どもは参加した、こういう状況でございますし、あらゆる努力をして、あらゆる機会にこの核兵器というものが人類に不幸をもたらさないように、そういう方向で進みたいものだと、かように思っております。

○岡田宗司君
  次に、この中国が今日採っております政策について、ひとり直接日本に対する脅威ばかりでなく、たとえばベトナムあるいは韓国あるいは台湾海峡等々についても、中国の脅威があるというふうな考え方を持っておられるようなことをしばしば私は聞いております。たとえばこれは椎名外務大臣も、しばしば国会で言われておるわけでございますが、そういうような脅威がある。現実に朝鮮において、あるいはまた台湾海峡において緊張があり、さらにベトナムにおいては戦争があるわけでございますが、これらを脅威と感じられるか、あるいは向こう側がアメリカを、その与国を脅始と感ずるか、これは別問題といたしまして、そういう脅威が双方にあるということを双方がそれを感じているということが、やはりアジアにおける平和が確立できない一つの大きな事態だと思うのですが、この脅威を、両側の脅威を去る、そうしてアジアにおける平和が確立される、そういうふうにする場合における日本の役割、日本の考え方、これは総理としてはどうお考えになるか、お伺いしたい。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私は、もう絶えず平和に徹するということを申してまいりました。そうしてこの平和に徹するのにはどうしたらいいかということが、抽象的にしろ、方向としてはすでに示し、皆さま方からの御協力も得ておる、私かように考えております。
  ただいまいろいろの例をおあげになりました。いまのベトナムの問題について、これは米国は表面に出ているが、いま北爆をやっておる北ベトナムという関係だとか、私は中共政府がこれに対してもちろんモラルサポートとでも申しますか、自分たちが同じ考え方だという意味でこれに協力して支援しておるということは、そのとおりだろうと思いますけれども、直ちに中共がこの戦争に参加している、かように判断することは、私はできない。
  さらにまた、国民政府との関係を云々されました。しかし、これは中国の内部の問題だ、中共と国民政府とこういう二つの分離国家の関係にありますので、これもまたしばしば申し上げましたように、私どもの外交方針からただいま国府と外交的交渉を持ち、そうして権利、義務がある。また、中共政府に対しましては、実際的問題としてこれを処理していくということでございまするので、今回の日韓交渉でとやかく急に態度が変わった、こういうものではない、それはもう在来からの方針でありますから、これは御理解いただいておると思います。
  今回の問題で、日韓条約を締結してその他の協定を結んだ、そうして衆議院においてこれが可決された、その経緯に対して中共がどういうような考え方を持っておるか。これはきょうの午前中も後宮君から御報告いたしましたように、こういうような特別な見解を述べておる、こういうこともすでに御承知のことなんだ。でありますから、私は中共自身が、ただいま日本のやっていることに直接、問題を引き起こすといいますか、直接関係のあるというものは、ただいま言う、日韓条約並びに諸協定の承認を求める案件について、特別な批判を下している。このことが、中共政府の今回の問題についての感じ取り方、考え方がこれで明白になった、かように私は思っておる次第であります。

○岡田宗司君
  私がお伺いしたのは、たとえば、いまアジアにおいて、いわゆる中共を主軸とする陣営、そしてアメリカを主軸とするいわゆる自由主義陣営との間の紛争、衝突が起こっておる。それに対処して、日本は平和を実現する、アジアにおける平和を確立するために、総理としていかなる抱負と見解をお持ちになっているか。これをお伺いしたんです。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  いまの韓国の問題についての中共政府の声明は、別に聞いたわけじゃないというお話でございますから、これは私がよけいなことをお答えしたのでございます。が、ただいまのベトナムにおける紛争、この状態についてどういうふうに考えているかということでございます。これは、私どもは、アジアに平和があることが心からの願いでありますし、一日も早く戦乱が終息することを、拡大しないで終息することを心から願っておる。そういう意味で、私どもはしばしば、無条件話し合いということを主張しております。提案しております。しかし、なかなか今日まで、それが受け入れられないというのが、いまの実情でございますので、日本政府がどういう態度をとったか、これは御承知だと思います。多くを申し上げることもできませんが、ただいま申し上げるように、今日までその時間が来ていない、かように私は思っております。

○岡田宗司君
  まあ、ベトナムの問題につきましては、いまのところなかなか解決の方法はむずかしいかもしれない。しかしながら、1950年に朝鮮戦争が始まりました。そして、これはアメリカ軍、また、北鮮のほうには中共義勇軍が入りまして、実際上、アメリカ軍と中国軍との激しい戦いになったわけでございます。しかし、この戦いは、とにかく4年経ちまして、いわゆる休戦が行なわれた。アジアにおきまして、こういう激しい戦争が起こりまして、これが、まあ世界戦争の破局にまで、第三次世界戦争にまで発展しなかったということは、これはアジアにおいて、当時みんな胸をなでおろしたことだと思うのでございますが、今回のベトナムにおける戦乱も、いま激しく戦われております。そして、両方とも非常な損害を出しておるようでございますが、この戦いの原因等について、私はいまとやかく申しません。それよりも、一日も早くこの状態がなくなること、そして回復されることが望ましいわけであります。
  その際における、やはり日本の役割りというものを私は考えてみなければならぬと思う。日本は、この問題から遠ざかっておるわけにはまいりません。どうしても、近隣にある問題でございますし、私どもは、日本としての役割りというものも何かある。おそらく、総理もそう考えておられると思うのであります。単にアメリカの政策を支持するだけではない。私は、そう考えておるのであります。すでに、ウ・タント事務総長によっても、ある種の調停のための行動がとられましたし、あるいは他の国においても、それがなされるための打診も行なわれておるわけであります。おそらく、今後そういうような機会がまた多くなるでありましょうし、また、同時に私は、それが何年かかるか、あるいは4年かかるか、3年かかるか、2年かかるか分らないけれども、しかし、そういうような動きが起こり、それが大きな力になり、世界の世論を背景にしていくならば、われわれは朝鮮戦争のときと同じように、あるいは戦乱を一時終息するというところまで持っていけるのじゃないかと思うのであります。たとえばジュネーヴ会議の再開というようなことが、一つの具体案として出されているわけでありますが、この調停の動きに対して、日本政府としてはどういうふうにお考えになっているか。また、そういうような動きに対して、日本政府としては協力する用意があるかどうか。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  これ、なかなかむずかしい問題ですが、いままで私どもが考えたことは、とにかくジュネーヴ会議というものが一応持たれた。そこで一応の原則というものが立っているじゃないか。その原則へ復帰することが望ましいだろう。そのためにも、とにかく一応お互いに無条件で会合を持つことが必要だ。そういう一応の話し合いで会合の場が持たれる。で、それぞれの意見が述べられ、おそらくジュネーヴの原則というものが承認される、こういうようなことになるなら、よほどわかりいい話だ。かように実は思っているのでございます。しかし、とにかくいずれにいたしましても、そのジュネーヴ会議の原則云々よりも、まず第一は、無条件で話し合うべきだ、そのことが何よりも必要だ、かように私は思います。もちろん、話し合いの間は、いまのような戦いをしながらというのは無理なことで、戦いもやめる。そうして無条件で話し合うということが望ましいのではないか、かように私は思います。

○岡田宗司君
  それは望ましいことでありますが、いま具体的に、まだ成功はしておらないけれども、調停の動きは各方面に起こっている。この調停の動きに対して、日本政府はどうお考えになっているか。あるいはこの調停の動きに対して、日本政府としては参加するつもりがあるかどうか。そのことをお伺いしている。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私は、この問題が起こりまして以来、といいますか、ことしの一月に、まだ紛争が表面化しないときに、ジョンソン大統領と会って、この事態についての意見の交換をいたしました。そうして、これが紛争が始まって、北爆が始まって、それ以来、どういうような形で解決するか。これが、いままで大体国連中心というような形で進むことが望ましい。それが、国連中心というような形と同時に、ジュネーヴ会議というものとがちゃがちゃになって、しばしばそういう形で行きつ戻りつで議論をして参ってきている。
  当初におきましては、あるいはソ連、あるいはイギリス、その他の国、フランス等々の話がございましたが、最近は、ややそういう問題についてもあまり国際的な動きを感じないといいますか、ただいま国際的な新たな動きがあるといわれておりますけれども、私どもややそういう点では遠ざかっているような気がいたします。いずれにいたしましても、こういう事態が早くおさまることが望ましいのでありますから、あらゆる機会をつかまえまして、一日も早く平静に帰するように、そういうような道を見つけるべきだ、かように私は思います。



(まだ続くけど、以下省略)

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第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(20)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(20)



○国務大臣(松野頼三君)
 間違っておりません。それから、今のお話のように、政策とその実力というものが、この二つが脅威の対象だと私も思います。政策のことは、私の所管とするならば、まずその第二の実力のほうだけをお答えすれば、私の責任を果たせるかと思います。お説のように、今日直ちにどういうものを持っているかということは軍事機密、どこの国でもそうです。想定はできません。しかし軍事というのは、開発途上にあるもの――一朝一夕にできるものではございません。したがって相当長期間に、先を見込んで、この開発をどこの国が始めたというならば、それに対応するものが日本においても防衛上必要である。この意味においては、ソ連の核爆発実験というのは、私たち非常に脅威である。
  この政策が平和的であるならば、これは私は問題はございません。したがって、やはり相当なものを、お互い防衛力というものは相対的に持たなければならない。開発が進められるということは、事実今日進行中であるという予想は、これは私、疑う余地はございません。目の前に見たか見ないかというのは、軍事機密ですから、これは見られませんが、その方向に進んでいるということは、やはり防衛上にとっては重要なことである、私はかように考えます。

○岡田宗司君
  私はソ連のことを質問しているのではないのでして、先ほどから防衛庁長官は、ソ連の兵力、あるいはソ連の核爆発のことについて言われていましたけれども、私は中国についての脅威ということをまずお伺いしているわけなんです。

○国務大臣(松野頼三君)
  核爆発以来、兵力の問題につきましては――ソ連というのは、実は中共の私の申し違いでございまして、中共における今日の核実験及びその進行というのは、私は防衛上においては重大な一つの問題点である。これは私たちは、やはり日本の、アジアにおける日本の国の位置づけとしては、当然中共の問題は考えなければならないと思います。

○岡田宗司君
  中国の核爆発実験が、これが世界に及ぼした影響の大きいことは、これは私どもも十分承知をしております。しかしながら、中共がそれによって、はたして日本に対して脅威を与える政策をこれからとりだすか、とりだしておるかということは、一つの問題があるでしょう。それから、さらにまた、中国が日本政府の政策に対して攻撃をしておることもあります。しかしながら、中国が今日、日本に対して接近する政策をとりつつあるように私どもは思うのであります。批判はしながらも、接近しつつある政策をとっておる。また日本政府におきましても、中国は承認はしておらない。しかしながら、貿易の問題等について、あるいは人的交流、文化的交流の問題等については、これは比較的前向きの姿勢をとっております。もちろんニチボープラント等の問題についてはトラブルがありましたけれども、まだこれからも続くでありましょうけれども、大体そういう方向に進んがおることは間違いない。
  そういたしますならば、直ちにこの国会において脅威があるというふうな断定をされて、それに対処されるような方向を示唆されるということは、これはやはりアジアにおける緊張の度合いを増すことになるのじゃないか。そういう私は感じを受けるのでありますが、総理の御見解を承りたい。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  確かに岡田君の言われることも理屈があると、私はかように聞きます。私が自ら進んで、中国が核兵器持ったことは脅威だ、かように私は申しておるわけじゃない。一体これは脅威に感ずるか感じないか、こういうことでずいぶん問い詰められました。私は一体いかに答えたらいいかと思ったが、私はこの国の安全を確保する全責任を持っている、そういう立場からそのまじめな答弁をするということで、私はほんとうに率直に私の感じているままを申し上げたのであります。
  ただいま言われるごとく、こういう事柄が幸いにしてそういうものが出てこない、実現しない、そしてわが国の安全は従前どおり変わらない、これは依然としてわれわれが平和に徹することができている、こういう状態であることが望ましいのであります。またそういうものが、私の脅威に感ずると言ったから、直ちにこれに対する対策を立てるわけでもございません。どうかその辺誤解がないように願いたい。一体こういうものを脅威に感ずるのか感じないのか、かような御質問を受けたのは、社会党の方だったと思います。私はこういう事柄について率直に申し上げることが必要だと、かように思ってお答えいたしたのであります。

○岡田宗司君
  そうすれば脅威に感じたと総理が言われましたことは、直ちにこの脅威に対処する方針を立て、そしてその政策を遂行する、そういうことではない、こういうふうに了解していいわけですか。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  そのとおり御理解いただいてけっこうです。ただ私自身が、わが国の安全確保に全責任を持っているのだと、こういう立場でものごとを見ておるということだけ御了承いただきます。

○岡田宗司君
  ただいまの総理の言葉によりますれば、直ちに脅威に対処するための手段はとらない、こういうことでございますが、しかしながら、こういうような考え方が漸次積み重ねられてまいりますというと、やはり対処する方向というものをとる危険性も出てくる。それからもう一つ、これと関連をいたしますことは、単に日本だけがこれを脅威と、まあ総理は、脅威と感ぜられても直ちに実際的な脅威ではないから、したがってこの脅威に対処する特別に方策を立てるわけではない、こういうことになりましても、私は、もし他の国が、例えばアメリカが、たとえば韓国が、あるいはたとえば南ベトナムが、さらに台湾が、こういうような日本と関係の深い国々がこれを脅威と感じ、さらにまた日本がそれらの国々と友好関係を持ち、同じような自由主義陣営の一員として進むという場合に、これらの問題について他国との間に、他のそれらの国々との間に、また共同歩調をとらなければならぬという問題が起きてくるのではないか。これが私はまた総理が、いま直ちに危険を感じないとしても、直ちにそういう問題にぶつかってくるおそれがあるのではないかと思うのですが、その点はいかがですか。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私は日本の態度というものをただいま申し上げました。しかし最近国際的にこの核保有国を集めて軍縮会議を開こう、こういうことが論議されている。新聞等で報道されている。これあたりは、各国ともに核兵器というものについてやはり脅威を感じ、やはり不安を感じている、こういうことのあらわれじゃないかと私は思います。
  これは国際的なただいまの問題だ。そしてしかもそれには、それを承認するとしないにかかわらず、また国連に加盟するといなとにかかわらず、中共をこの核の会議に入れなければ意味がないのだ、こういうことが言われておる。この事実、この事柄自身で、中共の持つ核武装というか、核実験というか、これはどういうような意義を持っているかということは、これはもう国際問題について特別の関心のある岡田さんはよく御承知だと、私はかように思います。
  昨日羽生君から質問がありましたのも、こういう意味なんです。ただいま申す核を中国が保有した、一体ただいまの状況では、なるほど輸送手段にまだこと欠くかもわからない、あるいはこれを兵器化するのにはまだかかるかもわからない、しかしながら、すでにその道を開いて、そして開発に向かっている、これは確かに不安を与え、脅威を与えている、アジアの諸国に対しては、これはほんとうに身近に感ずるのじゃないか、私はかように思いますが、そういう意味からやはり国際会議が開催されるという、そういう必要になってきた、こういう問題を真剣に考える、これは当たり前のことだろうと思います。
  ただ力に対する力の均衡、これによって平和が保たれている、こういう意味で私が力の増強にのみ邁進する、こういうようなことはございませんけれども、ただいま申し上げるように、あるいは国際的な世論の喚起あるいは核拡散について特殊なくふうをするとか、あるいはその使用についての特別な申し合わせができるように協力するとか、これはいろいろの私の協力する方法、日本の進むべき道はある、かように思います。私が申し上げておきたいのは、日本は唯一の被爆国である、こういう立場から核を非常に憎んでいる、ほんとうに人類のこれは敵だ、もう人類を破滅にまで導くものだ、おそるべきもんだ、こういうことであらゆる面からこれについての強い主張が出ておる。
  そこで、私どもは国民とともに一切核武装しないんだ、核兵器の持ち込みは許さないのだ、こういうことまで考えてきている。だから、どんな理由があろうとも、核を持つということについてはどうも私どもは賛成ができかねる、またそれを弁護するような気持ちにどうしてもならない、この点で私が弁護するような気持ちにならない、そういうふうな点を、あるいは私自身が脅威を感じます、こう言って私は端的に申しておるのでありますが、それかといって、私が武装する、核武装する、こういうことを意味するものではない。ただいま申し上げるような国際的な軍縮会議なり、あるいは核拡散防止協定なり等々については積極的に私は日本の役割りを果たす、こういう考え方であります。

○岡田宗司君
  中国の核武装の問題について、それに対処する方法としては世界軍縮会議、中国を含む世界軍縮会議を進めていくことが最も適当な方法である、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。――ところで、いま一つ、これは対処する方法としては、総理の言うように、日本自身が持たないとして、他国の核のかさのもとに入って、そうして対抗するという考え方も生まれてくるわけであります。そして日本国内におきましても、そういうような考え方がまたあるわけでありますが、総理はその点についても、やはり他国の核のかさのもとに入って、そうして中国のこの脅威に対処する、こういうお考えではないのですね。その点をお伺いしたい。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私はあらゆる国とも仲よくするということをほんとうに耳にたこになるほど申し上げております。私はどんな国とも仲よくしていく。しかして、わが国の安全を確保する意味において私どもが日米安保条約を結んでおる、これも御承知のとおりであります。ただいま申し上げるように、ある国のかさの下で云々という、そういうものではない、私どもが安全でありたい、安全を確保する意味で最善を尽くしておる、また、いずれの国をも仮想敵国にしてない、いずれの国とも仲よくしていく、それにはお互いに独立を尊重し、内政に干渉しないという、それだけはひとつやってもらいたいということを願いとしてたびたび表明しておりますので、誤解のないようにお願いいたします。


(続く)

第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(19)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(19)



○二宮文造君
  最後に、まだ論点が明らかになったわけではございませんが、両国政府の解釈の食い違い、あるいはこれからこの批准が行なわれて効力を発生した場合に予想される問題、そういう問題を含めて私どもは時期尚早である、もっともっとなすべきことがある、それが総理の言われる日韓の真の両国民の友好につながる、こういうふうな考えを強く持っておるわけですが、これは政府の立場と逆の論点になりますのであえて答弁は求めませんが、必ずや、この条約あるいは協定のもとには両国に大いなる紛争が起こる、こういう心配があることを保留して、本日の私の質問は終わりにしたいと思います。

○委員長(寺尾豊君) 二宮君の質疑は終了いたしました。
 

○委員長(寺尾豊君) 岡田宗司君。(拍手)

○岡田宗司君
  私は、まず昨日、本委員会におきまして羽生三七君の質問に対して総理がお答えになられました二点についての答弁について、さらに質問をしたいと思うのであります。
  第一点は、総理は、中国について非常に脅威を感じられておる、こういう点でございます。その答えを見ますというと、羽生君の質問に答えて、平和共存路線をとるソ連は別だが、平和共存否定、強硬路線をとる中国はそれだけで日本の心配の種であり、まして核武装した中国に脅威を感じなければどうかしておる、こういうような御意見を述べておられるわけであります。この点はアジアにおける情勢、そうしてまた、それに対処する日本の方針として非常に重大な認識でございます。したがいまして、総理は、まず中国の強硬路線及び中国の核武装ということが、どういう点で具体的に今日日本の脅威になっておるかということを総理の考え方を詳しく御説明を願いたいのであります。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  中共政府の最近公式に声明したところのもの、これは私が直接受けたものではございません、新聞等で報道しておる、これがそのままであるならばたいへん私は心配だと、かようなことを申したのであります。この点は岡田委員も十分御承知のことだと思うが、いままで報道されたものは、いわゆる革命路線の遂行、あるいは民族解放への熱意、こういうようなことばがしばしば出ております。こういう点は、私どものように、ぜひわれわれの独立を尊重し、そうして内政不干渉の態度であってほしい、こういうほうから申しますと、どうもたいへん心配なのであります。ただいまいわゆる革命路線とかあるいは民族解放に熱意を示すというようなことが、一般にいわれておるようなことでないならば、これはたいへんしあわせでありますが、そういう意味で、あるいは私はいま申す新聞で報道されるところで心配だ、かように申すのであります。

  もう一つは、そういう政策自身がとられる、その結果がいわゆる平和共存ではないのだ、こういうことであります。この点も大変また心配なのであります。そこに力による支配、力による自己の、自分の主張を浸透させていくというか、透徹していく、こういうような考え方が窺われるのであります。この点がまず私は心配だ。それがさらに核武装した、核実験をした。私どもは日本国民とともどもに、これは社会党の方もそうだったと思いますが、どんな理由があろうと核武装はしたくない、しないのだ、こういうことを実は申して来たように思います。それがただ今、まあどんな理由があるにいたしましても、核武装する、こういうようなことで、この点は私は脅威を感ずる、これは率直に申したのであります。こういうような事態はどういうようにお考えになりますか。おそらく国民もこういう事態、この私がお答えするところのものは必ずテレビその他で国民も聞いていらっしゃる、かように私は思いますが、ただいま申すような意味において私は心配しておる、こういうことであります。

○岡田宗司君
  中国がいわゆるマルクス・レーニン主義の原理に基づいて組織された国家で、同時に、その政策はマルクス・レーニン主義に基づいておるわけであります。したがいまして、原理として彼らがこの革命路線、世界革命の理論を言うということは、これはソ連におきましても同じであります。問題は、そのドクトリンを述べておることだけで私は脅威だと言うわけにはまいらぬと思うのであります。問題は、それが一つの政策としてあらわれてくること、また報道としてあらわれてくること、そして日本がそれを脅威と感ずるということは、日本自身にやはり直接に脅威を感ずるような行動が行なわれる、あるいは政策がとられるというときに、総理として、日本が脅威を感ずるということでなければならないと思うのであります。その点において私は、中国が今日日本にとっていかなる具体的な脅威を与えておるか、こういうことからまず御質問を申し上げたい。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私は、ただいまのお尋ねでございますが、私はどこまでも平和に徹したい、かように思います。ただいま申し上げるようなあまり批判がましい、あるいは攻撃的な言辞は弄さないがいい、かように思います。ただいま申し上げますように、ソ連もかつては世界革命路線を推進していた。しかしただいまは平和共存ということを申しております。ソ連の国が共産主義であろうが、民主主義であろうが、それは私どもの関与するところじゃない、それに国民がこれはきめることだ。中共におきましても同じことが私は言えると思います。いわゆる平和共存はごめんだと、われわれの主義、主張によって世界革命を遂行していくというこの考え方自身が、日本に直接どんな働きかけをしておるか、働きかけがあれば心配だけれども、そうでない限りいいじむ、ないか、こう言われることは私はやや不満なんです。とにかく、政治形態としてはっきりした存在そのものが、平和共存だということを申すなら、これは私どもも、それはどういうような考え方を持っておろうが、私が申し上げるように、共産主義の国だろうが、仲よくしていくんですということを申しておりますから、これは別に問題はないはずなんです。しかし世界革命の路線を遂行していくんだ、これはよし看板だけにしろ、その看板を下ろされてないと、これはちょっと私は心配だ、かように思いますが、岡田さんは別に心配にはお考えになりませんか。どうも私は、これはちょっと心配なんです。

○岡田宗司君
  私は総理にお伺いしておりますことは、いまの中国が具体的にどういう脅威を与えておるかということについての総理の認識をお伺いしたわけであります。総理はさきの国会におきまして、中国は平和愛好国家である、こういうことを言われたことを私は記憶しておるのであります。そうしてまた、これは脅威とならぬということを言われたように記憶しておるのであります。今回は非常に大いな脅威を感ぜられる、これは非常に矛盾しておることであると思うのでありますが、この間にどういうような変化があって総理は脅威を感ぜられるようになったのか、その経過についてお伺いしたい。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私は、共産主義国といえども平和を愛好しておるのだ、かように思っております。だからこそ、平和共存ということばを言ってくれれば、たいへん私は賛成し、また敬意を表しておるのであります。この点は、私はあまり中共政府を批判することは好まない。もちろんそれは皆さま方も言われるように、共産主義国は平和愛好国だ、平和に徹するんだ、しばしば言われるそのままのことばを実は取り次いだつもりであります。そういう意味で、ただいまの平和共存ということには非常に重大な意義がある、革命路線による、世界革命路線の遂行だということには、これまた非常に重大な意義がある、かように私は思うのであります。こういうことばじりをとってのとやかくの議論よりも、実態について十分認識を深めていきたい、かように私は思います。

○岡田宗司君
  ことばじりでなく実態と、こう言われますというと、その実態というのは何か、こういうことをお伺いしなければならぬ。この脅威というのは、単に思想的な脅威とか、あるいはまた軍事的な脅威とか、あるいはまた政治的な脅威とか、脅威はいろいろな形であらわれるでありましょう。私は、それらの脅威をどういうふうに感じておられるのか。たとえば軍事的脅威ということについてまずお伺いしたいのでありますが、この軍事的脅威という問題については、防衛庁長官がおられるから、まず防衛庁長官から、その軍事的脅威というものについてのお伺いをしたい。

○国務大臣(松野頼三君)
  防衛庁は、どこの国をどうということじゃありません。すべて日本の国に隣接する国に対応する防衛力というものを主眼に置いております。その対応する、隣接するという中には、ソ連ももちろんその一カ国であることは、これは否定いたしません。今日アジアにおける軍事力を詳細に――軍事力というのは、とこの国でも軍事機密ですから、詳細にこれを知ることはできませんが、一応今日権威のある発表を私たちが詳細に調べて見ますると、ソ連におきましては220万という陸上兵力がわれわれは想定できます。ついでに比較でございますから、その次の話もしますと、220万が膨大であるかどうか知りません。北鮮が42万かと思います。韓国が56、7万、台湾国府が40万、それから極東ソ連軍が30万くらい、その比較にかんがみますと、相当膨大な軍事力である。なお核爆発をして、そうして核装備に進まれるというならば、相当な脅威だということだけは言えるんじゃないかと思います。

○岡田宗司君
  陸軍をかなり多く持っておる、これは事実でありまして、しかし日本と中国との間は境を接しておるわけではありません。そしてまた広大な中国も、周辺に多くの国を持っております。したがって、中国が今日日本に対して軍事的脅威を与えておるということは、単に二百数十万の軍隊を持っておるということから、中国が多くの軍隊を持っておるということからだけではくる問題ではないと思うのであります。たとえば中国は核装備をした。しかしながら、この中国の核装備は現在まだ実験の段階である、二度実験しただけであります。さらにそれがあるいはロケット兵器でもって運搬されるというような事態には立ち至っておらないわけであります。
  また海軍の問題にいたしましても、これは微力であることはよく御存じでございましょう。そういたしますと、これは将来はともかくといたしまして、現在脅威を感ずるということになるかどうか。戦争の脅威というものは、必ずしも隣国が膨大な軍隊を持っているからということだけで脅威とはいえないと思う。その政策にあります。つまり中国が日本を軍事的に脅かす意思、政策、そういうものを持ち、さらに中国がそれを実際に使う姿勢をとって、初めて脅威になるわけであります。それらの点についての脅威ということをお感じになっておるのかどうか、それらを詳細にひとつ御答弁を願いたい。(「さっきソ連はソ連はと言っているが、あれは中共の間違いじゃないの、訂正しなさい」と呼ぶ者あり)



(続く)

第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(18)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(18)


○国務大臣(椎名悦三郎君)
  まず各国の例を一、二申し上げますが、イギリスが旧属領が次々と独立をいたしました。いままでこれらの国に対しまして、政治的には独立したが、しかし経済的独立というものはなかなか難かしい。経済的に独立して初めて真の独立になるのであります。そういう意味において、新しい国の門出の祝いをかねて経済建設の資金を提供して、たしか合計40億ポンド、イギリスが各旧属領にこれを無償で提供しておる。それからフランスも同じような趣旨におきまして、数はいずれあとから、必要とあれば申し上げますが、たしか20億ドルと記憶しておりますが、そういうものを合計いたしまして20億ドルの資金を無償で提供しておる、こういう状況であります。

  日韓問題につきましては、請求権の問題を積み上げ方式によっていろいろこれを追及したのでありますが、法的根拠の点において非常な両国の主張に食い違いがあり、またこれを立証する事実的な証明方法も非常に困難、むしろ不可能である、こういうことでございまして、これをいかに追及しても、とても目的を達成することはできない。これをあきらめまして、これを主張しないということで、これと併行して、いま申し上げたような各国の例にならいまして、また日本の財政の事情も十分に考慮して、そうして無償3億、有償2億、こういう形で経済援助をするということに相なった次第でございます。したがって、これは請求権の生まれかわりである、であるからして賠償と同じ性質ではないかというような説もございましたが、ただ今ではさような説は採用されず、併行して経済協力をやり、そして請求権というものはこれを主張しない、すなわち消滅した、終局的にこれを処理したと、こういう取り扱いをすることに両国の間で合意された次第でございます。

○二宮文造君
  請求権の問題については非常に疑義もありますし、また、あとであらゆる角度から検討されると思いますが、また私どももしていきたいと思いますが、当面私ども非常に将来の、これからこの協定を実施する段階において疑問とするところをまずお伺いしておきたいと思います。 経済協力を実施する上において、たとえば無償3億ドルの対象事業の選定というものは、韓国の主張によりますと、これは韓国政府が日本の政府の協議なしに決定して、ただ日本側としては日本側の供給能力を確認するにすぎないんだ、こういうふうな説明のしかたをしておりますが、こういうふうに理解してよろしいか。

○国務大臣(椎名悦三郎君)
  あくまで経済協力でございまして、日本といたしましても、この供給する資金が、真に韓国の経済建設のために最も有効に役立つ方法であるかどうかというような点を十分に審議いたしまして、そしてこの供給に応ずる、こういう仕組みになっておる次第でございまして、それらの実際の事務的な取り扱い等につきましては、担当の局長から申し上げます。

○政府委員(西山昭君)
  3億の無償の実施にあたりましては、協定が発効いたしますると、年次計画を策定するわけでございますが、経済協力の常識から申しまして、どういう計画を最も有効に経済の建設に充当するかということは、協力を受けまする受け取る国が一番分かるわけでございまして、協定にも、年次計画の案は韓国が作成して日本側に提出する、こういうことに相なっております。したがって、その案ができますれば、私どもは韓国の代表者と、これがどのような韓国の経済に当てはまっていくのか。具体的には、現在の5カ年計画ないしは再来年から始まります第二次5カ年計画等を勘案いたしまして、そして日本の実情等も合わせ考えまして、協議して決定することに相なっておりまして、一から十まで韓国政府が決定権を持つ、こういうわけではございません。

○二宮文造君
  特に問題にしたいのは、第一議定書の第2条にあります「日本国が供与する生産物は、資本財及び両政府が合意するその他の生産物とする。」と、こういう規定がございますが、これは、「その他の生産物」というものの性格は、供与された資本販を運転するのに必要な国内資金、それを調達するための原材料だ、こう説明しておりますが、このとおりに考えてみますと、協定上、原材料までは合法的であっても、国内資金を調達するために必要な、それを生み出すためといえば、換金しやすい消費物資、それが入っていくようになると思うのですが、この程度に日本の政府は理解して、こういう第2条の規定を設けられたかどうか。

○政府委員(西山昭君)
  議定書の第2条は、「資本財及び両政府が合意するその他の生産物とする。」、こう相なっております。資本財につきましては、貿易の関係その他から見まして、こういう経済協力に使用しますことにつきましてだれしも問題としないのでございますが、「その他の生産物」というものをなぜ規定上盛って入れたかと申しますと、今日の経済協力におきましては、いろいろの形が考えられるわけでございまして、非常に極端な例から申しますと、非常に貿易収支が悪くて、貿易収支を直接助けるような寄与のしかたもありますれば、言いかえますれば、現金で寄与するというようなしかたもありますれば、あるいは資本財で寄与するようなしかたもありますれば、あるいは消費物資で寄与するようなしかた、あるいはそういうものをいろいろ取り合わしたやり方もあるわけでございますが、韓国の場合におきましては、御承知のように、今日日本の貿易は毎年1億ドル以上ないしはそれに近い出超をやっておりまして、過去5年間におきまして、すでに5億ドルの現金収入が日本に入っているような状況でございます。それに加えまして、韓国におきましてはいろいろの経済発展の計画がございますけれども、非常に国内資金が不足しておりまして、工場を建てるにしましても、それに必要な国内資金の調達がなかなか困難である。

  これが一つの大きな隘路になっておりまして、こういう事情をも勘案しまして、日本からは、資本財のみならず、資本財以外のものも供給してやろう、そして韓国政府はこの資本財以外のものは、換価されたものを――換価されたと申しますか――輸入交渉によりまして需要者が韓国政府に支払いまする現地通貨を特別勘定に入れまして、その金を、日本から供給します資本財ないしは2億ドルの有償の貸し付けによりまするいろいろの事業計画、そういうようなものの必要な国内資金に充てる、こういう説明でございまして、これらの点は、日本が行ないまする経済協力を最も有効に実施いたします上からいいましても、まことに時宜にかなった処置と言えるのじゃないかと思うのであります。こういう次第で、この消費物資あるいは資本財以外のものを入れることに相なった次第でございます。

○二宮文造君
  議事の進行について相当強力な御意見が出てくるようになりましたので、私もこの程度にとどめておきたいと思います。
  で、経済協力の問題につきましては、幾多の問題が残されたままこれから進んでいこうとしているわけですが、特にこの場合に政府に自重をしていただきたいことは、新聞の報道ですが、こういうことを言っております。「韓国での日本の経済活動の主力は何といっても数年前から常駐している日本の商社、メーカーの代表たち。その数は商社関係が100人、技術指導のエンジニアが50人近い。しかし、その激しい競争の実態はつかみにくい。よその国と違って韓国では、まだ正式に商行為は認可されていないし、日本帝国主義の斥候兵といった目で学生や知識層から見られているからである。ソウル市内の大きなキーセン・ハウス……」――注が入っております。「芸者がはべる料亭」となっておりますが――「は日本人のお客で成り立っているというのは隠れもない事実だが、これは氷山の一角。制約が大きいだけに売込み合戦は目に見えないところで一層激しく続けられ、忍者の血闘ばりのセイソウ苛烈なものがあると言われる。
  A商事で扱うことに99%決まっていたものが一夜にしてB商事の手に渡り、メーカーもまた資本系統の同じB重工に落ち着くといったことが珍しくない。」、「やはり日本商社の主目標は無償3億、有償2億ドルの財政投資をめぐる割込み合戦である。これは結局日本政府が保証する金だから、いわば親方日の丸、韓国内の政治、経済がどう転ぼうと絶対取りはぐれのない金である。韓国に売り付けるのではなくて、いわば日本政府に売り込むと同じことである。だから絶対にバスに乗り遅れてはならない。日本政府に渡りをつけるとともに、韓国当局や実際の受け入れにあたる韓国業界に信用を得ておかねばならない。」。

  私はこの新聞の報道がかもし出してくる状況を目に浮かべましたときに、とんでもないことである。総理も毛頭そういう指導もされておりませんし、またそうないように姿勢を正していかれるとは信じておりますけれども、こういうふうな報道がされるということ、この事態はこれからの日本と韓国との経済協力――韓国には経済侵略だという強い声がある、その中で経済協力を推進していくわけですから、先日も問題になりましたけれども、どういう商社がどういうプラント輸出を成約しているか、その進行状態についても資料要求された場合はすみやかに国会に提出をされる。あるいは具体的な一つ一つの審議にあたっての総理が常に言われるえりを正した姿勢が進んでいかれる、こういうことをこの際明言をしていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  我が国の経済協力は、これによりまして韓国の正常なる、また着実な経済の発展に寄与する、こういうことを狙いといたしております。経済の発展に寄与する、同時に、そのことは国が繁栄し国民の生活も向上する、これに役立つということだと思います。ただいまお読み上げになりました新聞の報ずるように、あるいは経済侵略というような誤解を受けたり、あるいはまた一、二の商社によってその利益が壟断される、純利益本位に活動するとか、こういうようなことがあってはならないと思います。もちろん私は両国の親善友好関係を樹立する、この点で最善を尽してまいるつもりでありますし、ただいま申し上げたように、経済協力を目的とするところははっきりいたしておりますので、誤解やまた疑惑を持たれるようなことがないように十分注意をするつもりでおります。




(続く)

第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(17)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(17)


○二宮文造君
  もう、質問をした論点というものを全然考慮に置かれないで、全般的な答弁をされるので、受けたほうも、非常に答弁の範囲が広いので、まごつくわけですが、もっと具体的に私はお伺いしたわけです。例えば、漁業金融について、政府機関の融資額がパーセントがずっと下がっているじゃないか。これは直接漁民に対する融資のことなんです。その面を是正しなければ、やはり零細業者にとっては片手落ちではないかという――国民とすれば、国は親ですから、何とかしてもらいたい、他人の子供ばかりめんどうを見ないで、わが子のほうもめんどうを見てもらいたい、こういう不満があると思います。
  さらに、今度の協定によりますと、いままでの漁獲高も一応の頭打ちをして、漁獲高の制限もされる。今度自主調整をやっていって、漁家収入が減っていくという心配もされている段階において、政府の国内業者に対する優遇策というものをもっと具体的に話を進めていただきたいと思うのです。どうですか――。ちょっと待ってください、大臣でなければ……。

○国務大臣(坂田英一君)
  先ほど申しましたことは、金融等をプラスしていろいろの点を申し上げたのでありますが、農林漁業金融公庫からは、一番安いのが3分5厘であります。それからその次は5分、それから5分5厘といったようなもので、相当低利なものを出しております。将来の問題としては、もちろんこれらの問題について、金利については、いま全般的な検討を加えておるわけでありますから、漁業だけというわけにはいきませんが、貸し付け量等については、その点は十分考えてこれらの問題に処していきたい、かような考えでございます。

○二宮文造君
  外務大臣に伺いますが、また、気に入らぬ韓国の国会議事録の話になるのですが、向こうの韓国政府の考え方は、いわば有効期限5年、さらに通告して1年ですね。6年過ぎれば改定してもいいのだ、無効にするのだというふうなニュアンスが非常に強いのですが、その場合に、また、認めてないとはいいながら、実質的に日本の漁業の障害となった李ラインの問題、これも出てくると思いますが、何かそれについて外務大臣は非常に楽観的な見通しをされておりまして、友好的にいけばこのまま続くのじゃないか――だが、一方では、国内の業者に対して説得する意味かどうか、無効にさせるニュアンスの強い発言をしております。例を引くつもりはありませんが、この点に対して外務大臣はどう考えていますか。やはり議事録を御覧になっていると思うのです。

○国務大臣(椎名悦三郎君)
  従来の両国の混乱した漁業がこの際整理整とんされまして、そうしてさらに、日本のほうから漁業協力の資金等を供給するということになりまして、時が進めば、ますます安定した漁業を営むことができる、また韓国も、希望どおり、だんだん漁民の向上が図られるということになるのは必然でございますから、5年たってこれを再び解消するというようなことは、とうてい我々は現実問題としては考えられない。また、向こうもおそらくそうであろうと、こう思うのでありますが、現にそれを間接に立証する事例として、漁民の大部分が日韓条約の早期成立を非常に熱望しておるというようなことが、いろいろの調査によって明らかになっておることに鑑みましてもこのことは言えると思うのであります。
  でありますから、6年たって、また再び無協約状態になる――その場合には基本条約あるいはその他の協定は有効に存続するものと思われます。漁業だけが無協約になるということは、とうてい考えられない。かりに、そうなった場合でありましても、李ラインの復活というようなことはとうてい考えられない。前文においても明らかに従来の韓国の態度というものは全く一変しまして、そして公海自由の原則というものを確認しておる。こういう状況でありますから、再び無協約な混乱の状態が見られるということは、私はとうてい信じられない、かように考えます。

○二宮文造君
  総理に伺いますが、拿捕漁船の国内補償の問題ですが、今度の補正予算に若干組まれておるようですけれども、気になるのは、補償金の課税にあたって優遇措置を講ずる、こういうような政府の考え方が伝えられておるわけですが、考えてみますと、この拿捕漁船、これの賠償請求権というものは、漁民とは全然無関係な、いわゆる対日請求権ですね、それとの妥協あるいは相殺というふうな形がとられたわけです、実質的に。そして、まあそれではというので、政府のほうでも国内補償という考え方をして、やっとここまで、まだ不十分ではありますけれども、ここまで問題が進んできた。そういうものは当然免税でなければならぬと、こう私ども思うのですが、あえて免税という考え方をしないで、完全な額あるいは収入としてそれを見込むだけのゆとりのある金額ですと、まだ優遇措置と呼んでもいいでしょう。ですが、不完全な状態で補償される場合にも優遇措置というふうな政府が発表されているということは、少し過酷じゃないか。免税にすると、こう言い切れないものかと、こう思うのですが、どうでしょう。

○国務大臣(坂田英一君)
  昨日もこの点について申し上げたわけでありますが、減税の問題は、これは補償金ということになりますと難しいのです。そこで、これは補償でなしに、交付金という名前をもって、いわゆる見舞い金的なものであるが、しかし、相当、非常に困られた乗組員等多いのでございまするから、そういう意味で考えていこうということであります。
  それから、しからば減税の点はどういうふうにするかという問題でございますが、でき得る限りそういう乗組員等の困った人々に対する慰謝料として考える場合においては、税を免れらせるようなことになり得るであろうという見当でございまするが、目下そういう点については事務的にいま検討中でございます……。

○二宮文造君 いや、どうなんですか、免税じゃないのですか。減税を免れる……。

○国務大臣(坂田英一君) 免税も含めての話でございます。

○二宮文造君 免税ということも考慮していると、こう了解してよろしいのですか。

○国務大臣(坂田英一君) その点について考慮をしていま検討中でございます。

○二宮文造君
  次に、経済協力の問題でお伺いしたいと思うのですが、これも私が用意したのは、やはり日本の政府の国会における説明と、それから韓国の国会における韓国政府の説明と食い違いがある、こういう問題で用意をしてまいりました。ですが、時間がありませんから、以後の質疑の中でその点を明らかにしていきたいと思うわけですが、ここで……。

○鈴木一弘君
  関連。漁業問題が終わるようですから、一つだけちょっと関連して伺っておきたいのですが、日韓の漁業協定では、大臣の言うとおり李ラインがなくなったと思うのですが、そう了解したとしても、それについて第三国の漁船による操業、こういうものについては一向拘束力がない、こういうふうになってくるわけです。現に北朝鮮の船が日ソ漁業協定の日本側の水域に入ってきてとっていることについても、国交が回復されていない、承認されていないということから、手をこまねいて見ていなければならない。同じような事態が第三国の船によって、せっかく魚族資源の保護というような、そういう名目を掲げておるようでありますけれども、そういう目的で立てられた共同規制水域の中へ第三国の船が漁労にきた、こういうようなときにはどうにも手の下しようがない。一体そういうような危険性というものがあると思うのでありますけれども、その点についてはどういうような方針を持っていらっしゃるか。

○国務大臣(坂田英一君)
  今のところ、そういう心配はまずなかろうと思うのですが、問題が起こればまた考えていかなければならないと思います。

○鈴木一弘君
  問題が起こればまた考えなければならないということはどういうことなんですか。北朝鮮側にも船はありますし、またソ連にもございますし、そのほかの第三国の船が入ってこないとも限らない。

○国務大臣(坂田英一君)
  これは今そう申されてもしようがない。だけれども、そういう心配の事態はないわけですから、ありまする場合においては、その事態に応じて考えていかなければならぬことは当然でございます。

○二宮文造君
  請求権の問題、これはあっさり、もう非常に問題になった点でございますから、総括的にお伺いしたいと思うのですが、韓国では確かにこれは賠償の性格を前面に押し出しております。これを解決するために、経済協力というふうに主張しておりますし、日本のほうでは経済協力に随伴して最終的に請求権がなくなる、こういうふうな説明のしかたをしております。ここで問題になるのは、名目なんです。一体、これは大平前外相は韓国独立の祝い金だ、こういうふうな説明をしたときもあります。いまもって祝い金式なあるいは包み金式な考え方がまだ強いわけです。一体その新しく国家が分離独立したときに、こういうような独立の祝い金というようなものを旧統治国に出した例があるかどうかということで私ども疑問を持っております。無償3億ドル、有償2億ドルというものの性格、これをもっと国民に理解できるように説明していただきたいと思います。


第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(16)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(16)


○二宮文造君
  大臣にお伺いしますがね、いま一番遠い島を含んで直線基線を引いたのはおかしいと、そういう意見あるいはそういう反論を救済する意味において、暫定的な禁漁線というものを設けたと、これはまあ妥協の産物であるかのような、またそれを救済するかのような政府委員の答弁なんですが、暫定的禁漁線、あえて暫定的とこう言っているのは、その暫定的というのはどういう、何年、あるいは将来、この暫定的禁漁線をどう取り扱っていくかという点についての了解はとったんですか。

○国務大臣(坂田英一君)
  この直線基線ということとまた関連することでありますけれども、つまり済州島の問題でこれは非常に問題が多かったことは何でありますが、その朝鮮の、いわゆる韓国の本土のほうから低潮線ではかったものと、それから済州島のほうから低潮線ではかった12海里ですね、それを日本は主張しておったわけなんです、この経過を申しますと。ところが、もともと韓国のほうは、済州島を含んで非常に広大な地域を主張しておったのでございます、いろいろの何がありますので。そこでそういたしますと、国際先例にも合わないということになりまするので、そこでだいぶこの問題はいろいろと相互に主張したのでありまするが、最後に日本の主張を容れ、そうしてやはり12海里のいわゆる低潮線による外郭線によってひとつ決めるということに、その点は合意したわけでございます。

  ところがそうやりますというと、両方の、本土から測った外郭線と済州島から測った外郭線とが重なり合うんですね。そうしてその東と西の間に非常に深い入り込みがこうできてくると、いま一応説明したと思うんですが。そういうことになりますと、入り込みのところに紛争のもとを残しはせぬかということが気遣われたことと、それから一つはそういう両方の間の主張のやっぱり一つの妥協ですね、最後に。そういう関係もあって、これは長い間ずっと本則的にはこれは認めるわけにはいかぬが、暫定的にはそういうことにしようと、こういうことでいった、その暫定的というのは、一応この協定が成立してそうしてこれから始まるわけですな。始まるということはおかしいが、とにかくそういうことで操業をいろいろやりまして、双方の間が納得されてそうして紛争もこの程度では起こらない、平和に進むということがはっきりした場合において原則に戻ろう、それまでの間暫定的と、こういうことで、この暫定的ということにいたしたわけであります。

○二宮文造君
  答弁が非常に親切ていねい過ぎるということになるのかと思いますが、では、撤廃するということは、どこでやるのですか。どういう機関で扱うのですか。

○国務大臣(坂田英一君)
  これは、いついっか、どうというわけではありませんで、その事態でいくわけでございます。問題としては、結局、漁業協定第9条の紛争に関する問題、紛争が起こった場合ですね、そうでなしに話し合いでいけばそれでいけますし、その問題が紛争になった場合には、第9条の紛争を解決する条項がございますから、それによっていこう、こういう考え方であります。

○二宮文造君
  もっと重要な問題は、共同規制水域での紛争といいますか、いま紛争ということが出ましたから、続けて紛争の問題を伺いたいと思うのですが、韓国側は、専管水域から共同規制水域が続いているわけです。共同規制水域で操業許可を持たない漁船が共同規制水域に入り込んでくるという心配が出てくるわけですが、政府としては、どうそれに対処するような考えでこの協定を結びましたか。

○政府委員(丹羽雅次郎君)
  お答えいたします。附属書にもございますように、共同規制水域内における操業については証明書を所持させるとともに標識を付するということをきめておるわけであります。したがいまして、私どもといたしましては、出漁資格船につきましては、船体に合意されました大きな標識を付する、それから同時に、その船は証明書を持つ、そこでそれ以外の船が入らないようにチェックすると同時に、監視船の増強を、補正予算でまた御審議願うわけでございますが、いたしまして、それから団体の間の民間協定をささえにいたしまして、そのコントロールに遺憾のないようにいたしたい、かように存じております。

○二宮文造君
  今度は日本側の問題ですが、共同規制水域に入っていく各種の漁船の調整ですね。これも、おそらく答弁とすれば、民間の自主的な調整と、こうなってくるだろうと思いますが、これらの水域に日本の漁船が出漁していた隻数ですね、それは一体どのくらいにいままでつかんでおられますか。

○政府委員(丹羽雅次郎君)
 お答えいたします。この水域は初めて設けられましたものでございますので、いま御指摘の共同規制水域にどのように入っておったかという点につきましては、非常に詳細に調査をいたしたわけでございまして、どのような数であるかという御質問でございますが、まず、大きなものを申しますと、50トン以上の底びき船、これは東支那海から黄海を全部操業して回る船でございますが、全体で780隻あるわけでございます。その中で、過去におきましてとった正午の位置を集計いたしまして、その共同規制水域に入り得る船を270、こういうふうにきめたわけでございまして、簡単に申しますれば、正午位置報告、それから操業実績報告等を基礎にいたしまして、その数をきめた次第でございます。

○二宮文造君
  この沿岸漁船ですが、質問のしかたがちょっと言い回しが足りなかったかと思いますけれども、沿岸漁船で総計1700隻、これが今度のいわゆる日本側のこの水域に関係する隻数、こういうふうに私ども了解をしておるのですが、実際は、これまで3000隻にわたる沿岸漁船が、これらの水域に関係をしていた。それが協定の発効に伴って1700隻に削減されるということでは、これは実際問題として、沿岸漁民の生活権の問題が協定発効と同時に起こってくるのじゃないか。こういう意味で、少な過ぎるという非難が相当あるわけですが、この点はどうです。

○政府委員(丹羽雅次郎君)
 お答えします。韓国との間で規制の対象にいたしましたのは、大きな底びき網――沖合い底びき及びまき網及び60トン以上のさば船でございます。いま先生御指摘の沿岸の船は、日本の自主的な立場で1700隻程度に操業を押えて、資源の保護も考え、操業の秩序を考えたいという日本の自主的規制でございます。ここに出ております船につきまして、先ほど申したと同様に、過去におきます実績を精査いたしまして、大体1800ないし1900という数字を得ておるわけであります。先生のおっしゃいました3000隻というのは、たとえば在籍船を調べますとそういう数字もございます。ただ、この3000隻の中には、無動力船、2トン、3トンの船で、あの規制水域に入り得ない船を含めての在籍数でございます。

○二宮文造君
  若干問題をはしょっていきたいと思いますが、漁業協力資金の問題で伺いたいと思うのですが、確かに今度、9千万ドルあるいは3千万ドルという漁業協力資金が明らかにされております。ところが、これは一昨日ですか、問題になったと思いますが、韓国の漁民は非常に零細である。あるいは技術的にも日本より劣っておる。したがって、それらの韓国の漁民をひとつここで救済するような考え方で、同時にそれが漁業協定を円満に、あるいは妥協のうちに協定を締結していくための一つの妥協策であった、こういうふうな説明のようでございました。
  半面、これを日本の側から見てみますと、国内の漁業の従事者というものは、37年の漁家負債調査というものを調べてみますと、日歩3銭以上で借り入れておる者が全体の実に23%を占めておる計算になります。これは、日歩3銭以上ですから、年利に換算しますと1割1分以上の高金利、また39年度の漁業白書を調べてみますと、漁業に対する総融資金額に占める政府機関の割合は34年の14%から38年はわずか10%に激減をしております。
  国内の漁業従事者、これは、御承知のとおり、非常に零細な沿岸漁民を含んでおります。そういうものに対する政府の厚い手当てというものがここで論議されないで、かりに日韓協定を取り結ぶための一つの妥協策であったとはいいながら、他国の漁民に低利あるいは長期の資金協力を保障する、これは、形を変えていえば、国内業者に対する圧迫になる、こういう議論があります。われわれを何とかしてくれ、こういう議論に対しまして、大臣は、これからその予算がいよいよ本予算が組まれるわけでございますが、韓国への漁業協力資金、そのあり方と勘案して、国内業者に対してどういうふうな考え方を持っておられるか、伺っておきたいと思う。

○国務大臣(坂田英一君)
  漁業協力資金のいわゆる民間信用供与の問題は、昨日いろいろお話し申し上げたとおりでございまするが、これは、政府としては、気持ちにおいて好意を持っていこうということであることは御了承のとおりであります。そういうのでありますが、われわれとしては、やはりこの朝鮮の漁業に対しましては、技術的な、技術者の交流とか、あるいは情報といったような、いわゆる漁業協力の問題を進めていきたいと思う。そのほかに、いま言った民間信用供与の問題があるわけであります。ところが、国内の問題ということになりますと、いま朝鮮の漁業と日本との関係は非常な格差のあることは昨日申し上げたとおりでありまするが、国内の漁業としても、これはなかなか零細漁民が多いので、日本でも多いのでございまするから、これはいろいろの問題として、われわれとしては施策を大いにやって――いままでもやっておりまするが、将来もこれを進めていきたい、こう考えております。
 そこで、国内の問題といたしましては、単に資金の融通だけでなしに、たとえば沿岸漁業の振興のための構造改善事業とか、あるいは漁港の整備の問題とか、いったようなものに対しても、これは相当多額の助成金、補助金を出しておるわけであります。そのほかに、農林漁業金融公庫等から、構造改善については3分5厘の金で融資いたしております。なお詳細は、必要がございますれば、後ほど長官から御答弁申し上げまするけれど、そういうわけで、その資金の融通のほかに、国自身が補助金を相当とって、そして使って、そういう方面の助成をやっておるということを付け加えて申し上げるわけでございまして、将来は、なおこれらの問題について十分考えていかなければならぬことは言うまでもございません。特に、朝鮮からの輸入が非常に最近ふえてきております。近年は、うんとそれがふえておりまするので、これらの問題に対しても、国内の処置を十分とりつつ、輸入も考えていこうということで進めていきたいと思います。簡単でございますが、さようなことでございます。


(続く)

第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(15)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(15)



○国務大臣(坂田英一君)
  これはいま条約局長に詳しく説明いたさせますが、結局この専管水域は12海里、これは韓国と日本とが合意でこういう協定を結んでおるわけであります。その協定を結んでいない沿岸においてはどうするかという問題は、そういう協定がない以上は、領海の範囲内ということにせざるを得ないわけです。そういうふうな観点に立って私は3海里までと、こういうことを申し上げたわけであります。その3海里というのは、それではどういうことかというと、先ほど申しましたように、韓国に管轄権はないのでありますから、したがって自然韓国以外の国であっても結局――そういう問題については、いま条約局長に詳しく御説明をいたさせます。

○政府委員(藤崎萬里君)
  国家の承認とか政府の承認とかいうことと領域、領空、領海との関連の問題でございますので、私から一般論としてお答えさせていただきますが、この領海というのは3海里であるということは、日本はそれが国際法の原則であるという立場をとっておるわけでございます。ある国を承認しているとか、そこの政府を承認しているとかいうことと拘りなしに、すべての領域には領海というものが沿岸に沿ってあるという立場をとっているわけであります。ある国を承認していないとか、ある政府を承認していないからといって、低潮線に近づいて操業していい、あるいは領空を尊重しなくてもよろしいと、そういうことには相ならないのでございます。

○亀田得治君
  もう一つ、これは非常に重要な問題がさらにあるわけですが、私、関連質問でありますから簡単に指摘いたしておきますが、農林大臣からぜひもう一度はっきり明確にしてもらいたい。あなたは、韓国との関係においては、この共同規制水域を北のほうまで引いておるわけであります。共同規制水域は、これは自国の近所で関係国の了解の上において作っていく、これが基本的な考え方なんです。これは国際海洋法等を見てもそういう理解のしかたですね。一番それに近い関係国が共同規制の措置をとっていく。で、そういう考え方に基づいて共同規制をやっているわけですね。その際には、北のほうまでずっと作った場合には、韓国という立場で作っておるわけなんです。
  ところが領海という点になりますと、さすがに気がひけて、それは韓国の領海ではないという意味の今お答えがあったように思います。事実上北にあるものの――ものというのははっきり言いませんが、ものの領海だと、そういう言い方をされるわけですが、この共同規制を作った日韓間の考え方とそこに大きな矛盾があるわけなんです。領海につきましてそれは韓国の領海だと言えないのであれば、共同規制水域を北まで作るのは間違いなんです。もし共同規制水域を北のほうまで延ばして作るということであれば、専管水域はもちろん、領海も韓国の立場で理解をするということにならなければ嘘なんです。この二つが、はなはだこれは矛盾しておるわけなんです。
  矛盾しないような共同規制は、必ずしもそんなにくっついていない国でもいいのだ、というような説明を水産庁長官はあるいはするのだろうと思いますが、これは非常識なんです。朝鮮半島の実態を見れば、これは非常識なんです。常識的に考えれば、明らかにそこに矛盾があるわけなんです。そういう矛盾はどこから出てくるのか、これは北の政権に対する日本政府の全くこれを無視する態度から、そういう矛盾が出てくるのです。これはしかし、無視しておる態度をいま追及する場面じゃありませんから、これはいずれかの機会で私また申し上げたいと思いますが、少なくともこの共同規制水域を北まで延ばしたことと、北のほうの領海三海里は、これは韓国の立場で考えているのじゃないということとは、大きなこれは矛盾がある。農林大臣、矛盾を感じませんか。どう考えているか分かるように、もう一度御説明を願います。

○国務大臣(坂田英一君)
  漁業水域のほうは、やはり排他的管轄権を持っておりますから、したがってその沿岸において排他的管轄権を持つものでないと合意をしてそういうものを作り上げても、何にもならぬわけです。ところが共同規制水域の場合は、これは合意の上で公海の上でそれをやろう、そのときにはもちろん韓国と日本との間の合意でやろう、そうしてその合意でやった事柄は自由な、いわゆる公海のところでやるわけなんでございます。しかもそれは資源を擁護するという意味が多分に入っておるのであって、そこでむやみに漁獲をしないという規制を加えて、その両国で合意の上でやったものでありますから、それはこの漁業水域、いわゆる排他的管轄権を持つ漁業水域とは全く趣を異にすると言ってよろしいと思う。したがって二つ、そういうことの場合においても矛盾を感じないわけであります。

○亀田得治君
  農林大臣は専管水域ということをいま言われますが、私は領海のことを言っているわけです。

○政府委員(丹羽雅次郎君)
  共同規制水域の幅を決めますのに、共同規制水域の線の内側の中から漁業水域または領海を除いた部分のベルトが、共同規制水域であります。したがいまして、漁業水域がないところは、領海から共同規制の外線との間が共同規制水城に相なるわけでございます。

○森元次郎君
  農林大臣ちょっと一言だけ。たいへん面白いお話で、休戦ラインの北は、よその国とか何とかの国とかおっしゃっていましたが、何という国か国名をおっしゃっていただきます、国名を。それが一つ。
 もう一つは、領海、領海といいますが、領海というのは領土があり、陸地があり、その領土につながって領土と同じような国家の権力が作用するのが領海。海のほうから見りゃ領海を通って領土に入るわけですね、領土。領土といえば、これは何国かの領土でなければならない。韓国ではないはずのように考えられます。ひとつ何国か、領土は一体どこの領土か、単なる地域の外に領海というのはないわけですね。何となくおかがある、その向こうに領海があるということはないわけだ。海から入って行きましょう、海のほうから。まず領海を越して岸へ上がって足踏んだところは一体何かということを伺います。

○国務大臣(坂田英一君)
  いわゆる北鮮といわれておるところを了解しておるわけです。

○亀田得治君
  でたらめ言っちゃだめだよ。北鮮というような国はどこにありますか。それはもっと事実をはっきりと述べていくぐらいの態度がなきゃだめですよ。

○国務大臣(坂田英一君)
  農林大臣にえらいいろんな難しい問題をお聞きになりますが、北朝鮮、いわゆる朝鮮民主主義人民共和国です。

○二宮文造君
  直線基線の問題に入って行きたいと思いますが、だいぶ時間を気にしておられるようなんですが、まだ経済協力の問題についてもお伺いしたいと、こう思っておりますから、若干の時間を拝借したいと思います。直線基線の問題でまとめてお伺いしますけれども、これは一体何を根拠にして妥結をしたか。さらにおそらくそれは領海及び接続水域に関する条約第4条というもので回答されると思いますが、ならば一番遠い島を至近の水域内にあると見なすのはおかしいと、こういう意見がありますので、そうなった事情、それからこういうふうに本土から遠く長い基線を引いた例が外国にあれば、その例をまず例示していただきたい。以上三点。

○国務大臣(坂田英一君) 水産庁長官にお答えさせます。

○政府委員(丹羽雅次郎君)
  お答えいたします。先生いま御指摘の直線基線の概念は、領海及び接続水域に関する条約によってようやく新しく出てまいった概念であります。で、海岸線が非常に入り組んだり、出っぱったり、島嶼がたくさんある場合にどこから、領海を測定する場合に引くかというのが、技術的に非常に問題がございますので、その著しく離れた島以外で本土の外線に沿うておる場合には、それに沿って直線基線を便宜引くことができるというのが、領海及び接続水域に関します条約で取り上げられた考え方です。

  で、この考え方を今度の日韓の漁業協定におきまして一部取り上げました。それは御承知のとおり朝鮮半島の南海岸及び東海岸に島が非常にございまして、その考え方を取り入れて最小限度直線基線を合意をいたしました。ただやたらに引く、かってに引くということは適当ではないので、これは、それを引く場合には両国で協議し、合意して引くという形に相なっております。

  そこで、御指摘の著しく離れた島までを含めて直線基線を引くということは適当でないという立場におきまして漁業交渉の過程におきまして朝鮮本土、南朝鮮半島の島と済州島を結びたいというのが、韓国の考え方であったわけでございますが、これは本土の海岸線と著しく方向を異にするので認めるわけにはまいらない。これが非常に交渉が難航いたしました点でございます。そこでは便宜暫定措置として直線基線を引かないで漁業専管水域を定めるという形をとったわけであります。

 それから第二の御質問の外国の直線基線に関する長さの実例はあるかということでございますが、この問題につきましても、52年の条約の際に10海里程度にとめるべきである、20海里程度にとどむべきである、あるいはもっと大きくてもいいんだという各国の意見が対立いたしまして、長さを決めることは決定をいたしませんでした。具体的に一番長い例はどこかという点につきましては、ちょっといま資料を持ち合わせませんので御了承をいただきたいと思います。


(続く)

第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(14)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(14)


○二宮文造君
  最初は、李ラインは知らないという言い方だったのですが、やっぱり、しまいには撤廃という言葉を使ったのですが、事実は、水の上に線を引いてとか引いてないということじゃなくて、実際問題として、日本の漁業に関係のある重大な問題として懸案事項になってきたわけです。ところが、今度の漁業協定でもって、政府のほうでは、そういう心配はなくなった、こう言われますけれども、なおこの問題を取り扱ってみますと、幾多のまだ我々の疑問が出てくるわけです。
  例えば、これはしばしば論議されたわけですが、国内法として、李承晩宣言だとか、あるいは魚族資源保護法という国内法は、そのまま頑強に残っております。これは、今まで言われた論法からすれば、韓国の国内の問題でタッチしないということになりましょうから、それは別として、そもそも、この漁業協定の中で公海自由の原則、こういうものがうたわれておりますけれども、私、調べてみたのでは、1958年の第1回国際海洋法会議で採択された公海に関する条約というものには、日本も韓国も加入しておりませんね。これはどうでしょうか。

○政府委員(藤崎萬里君) 加入しておりません。

○二宮文造君
  加入しておりません日韓両国が、公海に関する条約を引用して公海自由の原則というものを冒頭にうたっているのですが、これは拘束力がありましょうか。

○政府委員(藤崎萬里君)
  あの条約を引用しておるわけじゃないのでございまして、公海の自由の原則と申しますのは、約17世紀以来確立しております慣習国際法上の原則でございます。公海に関する条約と申しますのは、御承知のとおり、国際連合憲章に基づきまして、国際法を法典化するという使命をもって国際法委員会ができたわけでありますが、この委員会で研究した結果を取りまとめた条約でございまして、法典化ということは、それは既存の国際法が慣習国際法であるために明文がない。それを、明文でないものを明文化したというわけでございまして、かりに、その条約に両国とも入っておりませんでも、公海の自由ということは、これはもうだれも疑わない国際法上の大原則なわけであります。

○二宮文造君
  日本が、1958年に採択されましたこの公海に関する条約に加入しなかったいきさつというものはどうですか。

○政府委員(藤崎萬里君)
  この会議では、公海条約のほかに三本の条約が採択されたわけでございますが、日本政府としましては、その全体について若干疑問の点がありましたので、いずれにも署名いたさなかったわけでございます。あとでゆっくり検討して参加するかどうかを決めよう――と申しますのは、先ほどは公海に関する条約についてのみ申しましたので、この条約に関する限りは、大体従前からの国際法を法典化したと見てよろしいかと思いますが、そのほかの条約では、わりに新しい規則をこの機会に設けたりしておるものがあるわけでございまして、そういうものには、にわかに政府としての態度をコミットするわけにはいかないということで、署名いたさなかったわけでございます。その後も引き続き研究しておりまして、大体私どもの考え方といたしましては、この公海に関する条約については、近い将来に加入すべく国会の御承認をいただきたいと、かように考えております。

○二宮文造君
  ここでもう一つ食い違いという問題は、専管水域の問題ですが、これもしばしば問題になっております、いわゆる北鮮沿岸です。北鮮沿岸ですね。これは、専管水域は北鮮沿岸にはない。要するに38度以南、これが政府の考え方であるようでございますが、韓国がそれを設定した場合、日本としては、それを取り消させる意思がありますかどうか。

○国務大臣(坂田英一君)
  それは日本としては認めないつもりです。合意に達しておりません。

○二宮文造君
  具体的に今度の協定、あるいは諸種の協定に基づいて政府が作成した地図の中に、以北は低潮線より12海里とした。これは、そういう意味では、非常にこの論点がはっきりしないと思うのですが、ここの字句の解釈は、以北は韓国の管轄権の及ぶ範囲まで低潮線より12海里と、こういうふうにすべきじゃなかったでしょうか。

○政府委員(丹羽雅次郎君)
  お答えいたします。先般、参考資料としてお配りいたしました地図のいまの御指摘の部分につきまして、表現が不十分と思われましたので、御配付の際に、備考としてそれを添えてございます。以北は低潮線より12海里と書いてあるのは、大韓民国の沿岸については、これより北に、なおその低潮線から測定して12海里までの水域を領海に属する区域として設定し得るという意味である、ということを備考に添えてある点を申し上げた次第でございます。

○二宮文造君 
  そうしますと、話が、論点が変わるのですが、では、日本の漁船は北鮮の沿岸では何海里まで操業できるのですか。

○国務大臣(坂田英一君)
  お答えしますが、北鮮の場合は、この12海里のいわゆる協定はいたしておりませんわけでありますから、領海――領海と申しますか、日本は3海里をもって考えておる次第であります。

○二宮文造君
  そうしますと、拿捕の危険はありませんか。事実、10月の29日に江華島というのですか、あの付近で操業中の韓国の漁民104人が北鮮軍に連れ去られて同日釈放された、というふうな記事が新聞に報道されておりますけれども、また、過去に、日本漁船が北鮮の警備艇に発砲されて、乗り組み員が負傷されたという事件もあるやに聞いておりますが、その農林大臣が言われる北鮮沿岸3海里、わがほうはそこまでしか領海として認めていないということであれば、拿捕の危険がありませんか、どうですか。

○政府委員(丹羽雅次郎君)
  お答えいたします。今回の協定で、大韓民国との間には専管水域の設定を認め合いました。したがって、設定されました12海里以内は向こうが排他的管轄権を持ちますから、ここに入りますと、向こうの裁判管轄権及び取り締まり権がある。北鮮との間では、日本国は何ものもきめておりません。したがいまして、領海を侵しますれば、領海侵犯という拿捕の危険はございます。しかし、いかなる公海におきましても、領海に入って操業してはならぬということは、漁業者の常識でもございますし、私どもが常に指示しているところでございますので、領海侵犯が起こらなければ、法律的な立場からいって食捕の問題はあり得ないわけでございます。

○二宮文造君 次に、直線基線ですが……。

○亀田得治君
  関連して。北鮮の領海3海里の点でありますが、この領海は、日本政府としては北鮮の領海として理解しておるのか、韓国の領海として理解しておるのか、どっちなんです、農林大臣。

○政府委員(丹羽雅次郎君)
  領海とは主権の範囲の及ぶ海の部分でございますので、休戦ラインの北におきましては、韓国の主権が及ばないという立場におきまして、休戦ライン以北につきまして領海ということばを私どもが使っておりますのは、休戦ライン以北におきます管轄権を持つオーソリティーに対して使っておることばでございます。

○亀田得治君
  ただいまの説明ですと、北の政権を認めておる。単に権威を認めるというのじゃなしに、やはり朝鮮民主主義人民共和国というものを認めなければ、そのような意味での領海というものは出てこないように思うのですが、それはどういうふうに理解したらいいでしょう。 〔理事草葉隆圓君退席、委員長着席〕  農林大臣どうです、基本問題なんだから。どういう理解のしかたをするのか。事務的なことじゃないでしょう。農林大臣、坂田さん、あなたお答えなさい。大臣答えなさい。

○国務大臣(坂田英一君) 条約局長から。

○亀田得治君
  こういうことは条約局長とよく相談してもらってもけっこうですよ。農林大臣が答えなさい。基本的なことをわれわれが疑問に思っているのだから、農林大臣、そこでよく相談して、それから答えなさい。――だめですよ、質問者の要求によって出なさい。農林大臣と相談しなさい。


(続く)

第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(13)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(13)



○藤田進君
  どうもこの辺に、だんだん深く後ろに下がっていきますよ、いやでも。国民の前に明らかですよ。そうなると、これはどうも、あとだれそれが立つ、これが問題になると、この辺で強行採決だというのが衆議院の実は実態なんですね。そういうことはいけません。ですから、その刻々を真面目に思ったとおりを答弁されればいいのです。いまの点に絞って、あれは嘘だと、いや嘘ではないあれは本当、二つしかないのですよ。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私がかねてから申すように、これは日本古来の領土である、私はそれをどこまでも主張します。相手方がどう言おうが、私どもの主張ははっきりしている、明白である。そして、両国間の主張が対立して、いわゆるこれが紛争だと、かように思います。

○藤田進君 そこを聞いているのじゃないですよ。

○理事(草葉隆圓君) 藤田君、関連だから……。

○藤田進君
  ですから、あなたが言われるのは――向こうは紛争でも何でもないと議会答弁しているのでしょう。これは御承知のとおり。あなたのほうは、紛争として当然残っているのだ。全然意思の統一を見ないままに結んだのかというと、そうじゃないと外務大臣言うのでしょう、意思の統一があった。それならば、韓国の国会で言っているのは、あれは嘘なのですか。嘘ですか、本当ですか、それだけ。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  ただいま申し上げるように、私の主張は非常にはっきりしておる、また日韓交渉の最後の調印いたすまで、また諸協定を結ぶまでこの主張を当方で放棄したことはない、はっきりしているということを申し上げて、その上で皆さん方の御判断をいただきます。

○藤田進君 まあ、我々のほうでやりますよ、今度。

○二宮文造君
  午前も、それから今の段階も、食い違いの核心に入ってきますと、答弁がそらされてしまう。

○国務大臣(佐藤榮作君) そらしたというのは、何をそらした……。

○二宮文造君
  そして、政府の方針を認めてもらいたい、政府の所信について審議をしてもらいたい。私も真面目にそういうように取り組んでまいりました。総理の所信表明も、あるいは衆議院における各段階における答弁も、読んでまいりました。なおかつ、それを信じようとする段階において、ひょんなものが飛び出してきた。やはり外交ですから、国益ということ、総理の主張される国益ということを考えるのは当然です。
  そこで、この韓国の国会における議事録というもの、発言というものが非常に重要になってくる。それに対する政府の姿勢を私は今日は通して伺っているわけです。それがどうも、交換公文にしましても、先ほどの管轄権にしましても、議事録の問題だけはノータッチで行こうとする。それでは相手方の考え方が全然浮き彫りにされません。総理は憤然とされたようですけれども、私ども本当にこの問題を考えて行けば行くほど、政府の立場を理解しようとすればするほど、韓国の国会における発言、韓国政府の発言というもの、考え方というものが気になってしかたがない。それに対する政府の説得力――私ないしあるいは国民に対する説得がもっと十二分になされていいんじゃないか。
  私も日本の国民ですから、日本の政府の発言というものを重要視します。これは当然です。しかし、それにはやはり傍証があるでしょう。食い違ったものがあれば、これはどうなのかと追及するのが当然の姿勢ではありませんか。この点どうでしょうか。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私が憤然としたと言われるが、私は憤然ではない。ほんとに国会を真面目に真剣に考えて説明をいたしておるつもりであります。その立場に立って私が憤然としていると、かようにおとりになるのは、それは皆さんの御自由ですけれども、私は真剣に討議している。このことだけは十分御理解をいただきたい。
  ただいま私に対しまして、議事録を出せというお話に最後に落ちたと思います。このお話は、衆議院におきましてもしばしば議論された。外交文書等につきまして、なかなか手続その他もあり、衆議院におきましても、これは出さなかったんです。だから、参議院におきましても、どうかそれは御辛抱いただきたいと、かように私は過日、二、三日前に答弁したと思います。その点をいまだに御理解いただかない、どうしても出せという、これは少し無理じゃないか。私は衆議院におきましての政府側の主張からも、衆議院に対してもこれは出せない。ずいぶん強い要望がありましたが、どうか御了承いただきたい、かように申したのでございます。参議院においても同じことを申し上げます。

○二宮文造君
  私は出せとは言っておりません。政府の立場は了解しております。審議を進める上においてどうしても必要ではあるけれども、政府は出さない。しかし、断片的に食い違った考え方が出ているから、その点について個々に明らかにしております。
 したがって、次に、同じような立場から、今度は漁業協定の問題に入りたいと思いますけれども……。

○羽生三七君
  二宮さん、ちょっと今のことで、関連じゃないのですが。

○理事(草葉隆圓君) 羽生君。

○羽生三七君
  ちょっと事実を御説明したいことが一つあるんですが、実は本年8月9日、臨時国会の際で、いま問題になっている三つの問題について、私及び同僚議員が質問したわけです。そこで佐藤総理が統一見解を出されました。休憩をいたしまして統一見解を出された。翌日の外電は、韓国政府は頭を抱えると出まして、その直後、野党の総辞職があって、野党のほうから質問が何もなしに無事に通ったわけであります。でありますから、向こうだって非常に困っているわけです。だから、そういう事実だけを指摘しておきます。

○二宮文造君
  李ラインの問題についても、やはり同じような問題が出ております。だいぶ議席がやかましいようですから、少し荒くやってまいりたいと思いますが、結局、李ラインはどうなったんです。事実上撤廃されたという意見があります。事実上撤廃されたというのは、形式的には残っている、こういう反論が出てきますが、この点はどうですか。

○国務大臣(椎名悦三郎君)
  李ラインというのは、もともと我々がこれを認めてない。それから李ラインという、そのラインが海のまん中に引かれているわけでもない。したがって、今度の条約において、なぜ李ライン撤廃というものを、これは俗称でありますが、それを日本の漁民が非常に望んだのであるかと言いますと、結局、向こうが李ラインというものを想定して、それを越える漁船をもう強制的にこれを拿捕して、そして船員を拉致すると、こういうことを繰り返し繰り返し何べんも行なわれたことは事実であります。でありますから、われわれの問題にしたいのは、そんな、どこに書いてあるのか、どこに引いたのかわからぬ李ラインを撤廃するということよりも、そういう無法な、公海上の漁業を妨げる、これを阻止すると、そういう行為をやめてもらいたいと、そういうことを排除するということが、我々の目的であった。

  そこで、今度の条約においてどうなったかと申しますと、御承知のとおり、両国の合意によって直線基線ができて、それから12海里――12海里は専管水域として、これを韓国の一方的な強制権で、これに立ち入る漁船を取り締まるということは認める。その専管水域外は、これは公海である、そうして自由に両国の漁民はここで操業することをお互いに認める。ただ、そこの魚族資源というものを保持する上において、お互いにひとつ規制しようじゃないかということで、隻数、それから参考――補足的に漁獲量というようなものを一応きめまして、そうして、それをお互いに侵さないということにいたしました。もし侵すものがあれば、だれが取り締まるか。その場合には、その漁船の属する国の取り締まり官憲が取り締まる。紛争が起こって、裁判にかかった場合には、旗国主義、やはり自分の属する国の裁判管轄権に服する、こういうことでありますから、いわゆる李ラインというものを想定して、そうして、それを越えたものを向こうが一方的にこれを拿捕し、取り締まり拉致するというようなことが、この漁業協定によってあとかたもなく消滅して、再び発生する余地がないということになったのでありますから、これを分かり易く言って、李ラインの撤廃、こう言っているわけであります。これが、どうなったかという御質問に対する答えであります。


(続く)

第050回国会日韓条約等特別委員会第5号(12)

第050回国会 日韓条約等特別委員会 第5号
昭和40年11月26日(12)



○二宮文造君
  どうもここにおいて、今度の日韓案件を政府がどのように国民に納得させようとしても、曖昧模糊とした性格が残ったままになる、こうなると思うのです。時間がありませんから次に進みますが……。

○藤田進君
  関連。(「もういいじゃないか」と呼ぶ者あり)時間も進んだし、もういいじゃないかという声もございますので、私はこのような条約の欺瞞性等については、社会党としては、二宮委員の質疑に不都合を与えてもいけませんから、徹底的に掘り下げていくつもりでおります。
  そこで、午前中二度重ねてお伺いしたにかかわらず、御答弁が保留のままになっておりますから、これだけはこの際お答えをいただきたい。それは、先ほど二宮委員に対しての答弁の中で、両国の国会ではまじめに答えているんだと総理は指摘されるわけですが、私は、いまるる事実をあげて二宮委員からの韓国国会の答弁、総理はまじめに答弁しているという認識のようですが、この韓国の国会においてかように明白な答弁がなされ、いたしておりますが、私は私なりに、韓国でいやしくも日韓間における交渉の経過を踏まえての協定についてそうでたらめを言うものではないだろう、このように思っております。がしかし、そうだとすれば、非常にこの食い違いというものは重要になってまいります。
  そこで、再三お伺いするように、韓国国会の佐藤内閣総理大臣の見られた所見というものをぜひ伺っておきたい。どう評価されているのだろうか。韓国国会というものについて国民に対する同様の所信を表明し、応答しておるわけです。いやまじめにやっておると先ほど言われておりましたわけでございますが、これはぜひお伺いしておきたい。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  お尋ねの点がどういうことにあるのかちょっと掴みかねておりますが、韓国国会が民主主義な国会であるか、あるいは独裁的な国会なのか、いわゆる政治形態としてどういうものをとっておるのかと、こういうようなお尋ねかと思うのですが、もしそういう意味だと、私は民主主義の立派な国会だと、かように考えております。あるいは何かまた別なことであれば、お尋ねをいただきたいと思います。
  で、先ほど来、韓国の国会を批判するよりも、皆さん方こうして韓国国会においていろいろ答弁された政府側の答弁をいろいろせんさくしておられる。これは、私申すまでもなく、この日韓条約その他の協定がまことに重大なものでありますから、これが私は悪いとは言わない。おそらく多大の関心を持たれることは当然だと思います。さような意味で、これを掘り下げることはけっこうだと思いますが、こういう事柄につきましても、またその他の事柄につきましても、政府自身の所信というものは詳しく国会を通じて発表しておるわけであります。所信を表明しておるわけであります。
  そこで、この政府の所信、これがまあ一番大事なことだと、かように私は思うのであります。この政府の所信を信ずるにしても、はっきり韓国の説明も確めたいのだと、この気持ちを私はむげに、それは間違っておると、かように申すわけではありません、たいへんけっこうなことだと私は思いますが、とにかく政府の所信というものが出ておりますので、その政府の所信をやはり、韓国側の答弁もさることだが、この所信を中心にして御審議をいただいたならたいへんぐあいがいいのだ、かように私は思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○藤田進君
  関連ですから詳しく時間をかけませんでしたが、さらに再三の質問ですから要約いたしたわけですけれども、私は端的に申し上げれば、韓国の国会議事録というものは政府の手元にそのままある。今日の段階では、参議院本委員会委員長の手元にまでは出すということで来ている。その中を見ればおわかりのように、あなたがぐあいがいいがとおっしゃる答弁と全然食い違っているということも御承知だと思うのです。ところが、いやあれは違うのだと、われわれのほうがほんとうなんだというふうに聞こえるので、それじゃ韓国の国会という、あの答弁というものはもう文字どおりあれはうそなんだ。うらはらになるわけですね、問題が一つなんですから。紙にも裏表があるということを世によく言いますがね。そういうのと性質が違うですね。竹島も問題だが、もらったのだ――もらったというか、もとより自分のもので、それは了解したのだ、そう言っておるのですね。総理の名も出ておるのです。いやそうじゃない、紛争で残っておるのだ――これはまるきり向こうが言っておるのが違いますよね。
  あなたのほうを日本国民としてわれわれ信用するとしてみれば、向こうの国会での答弁は、まるきりあれはでたらめで、うそだ、そういうものなんだろうかどうだろうか。総理は一体、韓国の国会はいろいろまだ独立日も浅いことだし、あんなことでとりあえず国民向けの話をしているので、実際には腹は分かっているのだ、そんなことを言う人もありますよね。総理はどう考えているのだろうか。これは、どうもあれはうそを言っておるわい、簡単に言えばね。いや、うそじゃない、まじめにあれはほんとうのことを言っておるのだ。どっちなのでしょうかと、こういうことです。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  私は、先ほど来お答えしておりますように、韓国の政府も韓国の国会もこの問題については真剣に審議をしておると、かように思います。したがいまして、ただいまの食い違いの問題ですが、そういうものも明らかにしたい、政府の所信もはっきりしておるということでいろいろ御検討願っておると思います。しこうして、ただいま言われる竹島の問題について私がいろいろ想像いたしておりますのは、先ほど来から申しましたように、韓国政府に対しては私どもは言質を与えてはおらない、これはもうはっきりいたしておりますし、またこの国会でさようなことを申すのでありますから、これは皆さま方も安心して、政府、総理はうそを言っていない、かように御信頼いただいていいことだと、またいただかなければならないことだと、かように思います。

○藤田進君 とすれば、向こうがうそを言っておる……。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  そこで、向こうといたしましては、向こうも領土を主張しておる、領土権を主張しておる、日本も領土権を主張しておる、ここが大事な問題なのであります。そうして、これを自分の領土だと言って、警備のために人まで派遣して、そうしてそれをちゃんと占拠しておる。そういう状態の韓国政府が、これは紛争問題なのだ、これは場合によったら日本の領土になるかも分らないのだ、このことは理論的に言えないことであります。私は、それを韓国政府は国民に対して言っておるのじゃないか。しかし、こういう国際紛争の問題は一国だけの考え方できまる問題ではないので、いわゆる国際紛争というものは国際的に話し合う、そういうものだと私は思います。

○藤田進君 論点をぼかさないで。

○国務大臣(佐藤榮作君)
  だから、したがって、ただ今の理論的に見た場合に、韓国政府が今までとってきた処置を一貫して見れば、これは紛争じゃないと言わざるを得ないような状況なんです。日本はこれに難くせをつけておるが、俺のほうでは紛争と思わないと言わざるを得ないような理論の一貫ではないか。これは自分のもの、自分のほうでちゃんと人まで行っておる、警備兵までおるのだ、だからこれはもう俺のほうのものなんだ、こういうことだと思います。ところが、私どもが国後、択捉はわが国古来の領土だ、かように主張いたしましても、ソ連は一体何と言っておるか。そんなことはない、ソ連の憲法にもはっきり書いてあるのです、これはソ連の領土だ、こういうことを言っている。これがいわゆる国際紛争なんですね、こういう事柄が。だから、そういう問題の解決のし方がどこにあるのか。これは先ほど来言うような調停方式でそれを取り決めた、こういうところです。

  今日もうこの問題は、双方でこれは紛争の問題だ、こういうように一部領有について疑念を残すようなことは、韓国政府としては言えないことである。また、言う考え方は全然ないと思いますね。もしも日本が逆にあそこを占拠していて、ちゃんと警備兵がいたとする。だれから何と言おうがこれは古来の領土だ、かねてから言っているのだ、ちゃんと人までそれについているじゃないか、これは必ず言うだろうと、かように私は思いますので、そういう食い違いがあったからといって、これは国際紛争でないという、こういう言い方は成り立たない。ただいま私が――それだけならばそれでよろしいのですが、私が了承したとか、あるいは椎名君が了承したとか、こういうようなことは、これはこの国会で私どもがはっきり申し上げておりますとおり、この私どもの言を信用していただきたい、かように思います。

○藤田進君
  答弁になっていないでしょう、聞かれても。それは国後、択捉島にしても、日韓と同じような、解決する腹があるのですか。これは、将来に調停でもしてそのかわりほかの問題を解決しよう――そういう問題は、これはまた別の機会にやるとして、あなたの御発言を聞けば、外務大臣と食い違いがあるのです。外務大臣は、事務当局においても、長年の間に紛争としての問題はもうはっきり両国間にしておりますと、ですから書いてはなくても、竹島――独島と書いてはないけれども、これは当然だと、こう言うし、総理は、リンゴの気持ちはわかる論ですよ、向こうの気持ちとしてみれば多年の歴史もありこれは紛争だということは言えない。とすれば、日間両国間の交渉場裏においてそんなことは一言も向こうも言ってなかったのだ。お互いに同床異夢というか、そういう形で結んだ。したがって、向こうは向こうのあれのままで、完全な意見の一致というものがないままだ、こういうことに帰結しますよ。
  完全に一致しているものは、紛争問題だと、確かにお互いが主張しているものだということであれば、向こうの国会でもってああいうことは言わない。これはもう約束済みだ、解決しているのだ、全然もう紛争の余地はないのだと言い切っているじゃありませんか。そうでしょう。だとすれば、向こうが言っているのは、これはあやまち――簡単に日本語で言えば、あれはうそだというのも言いにくいし、いやあれはほんとうだということも言いにくいしというところで、つい国後、択捉からずっとこう回ってきますね。そんなことを言ったってだめですよ。私は二つとも、耳よく聞こえるのですからね。はっきりしなさいよ。そんなあいまいなことで、そうして今度、あと何日しかない……

○理事(草葉隆圓君) 藤田君、簡単に。


(続く)

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Author:Chaamiey
別名 茶阿弥
男性 熊本県在住
写真は元飼い猫のちゃあみぃ

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