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独島の「歴史的権原」 1

韓国政府の独島の歴史的権原主張に関する研究

金明基(明智大学名誉教授)
嶺南大学独島研究所 『独島研究』 第29号(2020.12.30) p173

<目次>
1. はじめに
2. 歴史的権原の代替
3. 歴史的権原の代替を承認した判例
4. 独島の歴史的権原の代替
5. 韓国政府の独島の歴史的権原の主張内容とそれに対する批判
6. 結び

<抄録>
  古典的権原、封建的権原、本源的権原など歴史的権原は、現代国際法によって妥当な権原へ権原の代替を成さなければ法的効力がない。現代国際法上の権原に代替された歴史的権原は現代国際法上法的効力がないということが、国際判例と学説によって慣習国際法として承認されている。韓国政府が独島領土主権の歴史的権原を主張するにおいて、歴史的権原だけを主張していて歴史的権原の代替に関しては主張して来たことが殆どない。その結果として、新羅の異斯夫将軍が于山国を征服して樹立した韓国の独島領土主権の歴史的権原は、今日では法的効力が無いということだ。したがって、韓国政府が独島の歴史的権原を主張するためには、歴史的権原だけでなく歴史的権原の代替に関して指摘することが至急に要請されている。
  新羅異斯夫将軍の于山国征服によって樹立された韓国の独島領土主権の歴史的権原は、1910年10月25日の「大韓帝国勅令第41号」によって現代国際法上の有効な権原に代替されたのだ。歴史的権原の代替の慣習国際法は、特に独島を研究する史学者に普及させる必要性が要求される。これは関係政府当局に付与された責務である。


1. はじめに
  独島は歴史的・地理的・国際法的に韓国の固有領土だ、というのが韓国政府の独島領有権に関する基本の立場だ。独島が歴史的に韓国の領土である根拠として、『三国史記』の記録を引用しながら、新羅の智証王13年(512年)に異斯夫が于山国を征服したその時から独島は韓国の領土に帰属したものであるから独島は歴史的に韓国の領土だとするのが韓国政府の主張だ。韓国政府が独島の領土主権が韓国に帰属するという主張をする場合、例外なく新羅智証王13年に異斯夫の于山国征服による独島領土主権の取得による新羅の歴史的権原の取得を提示する。しかし、歴史的権原は現代国際法によって妥当な権原へ代替されない限り、現代国際法上の法的効力は無いというのが判例と学説によって一般的に承認された国際慣習法だ。このように「歴史的権原の代替」に関する国際慣習法によれば、韓国政府が主張する韓国の独島領土主権の歴史的権原は、現代国際法によって代替されない限り、国際法上独島領土主権の権原として法的効力がないのだ。
  上述した通り、韓国政府は韓国の独島領土主権の歴史的権原を提示するが、この歴史的「権原の代替」(replacement of title)に関しては何も論及がない。したがって、韓国政府が主張する独島領土主権の「歴史的権原」(historic title)は現代国際法によって代替されず、現代国際法上の法的効力がない。
  この研究は、韓国政府が主張する独島領土主権の歴史的権原は現代国際法によって代替されておらず国際法上の効力が無いということと、歴史的権原の代替が要求されるという点を指摘して、将来独島領有権の歴史的権原を主張するためには歴史的権原の代替の措置が要求されるという政策代案を提案するために試みたものだ。この研究の法思想的基調は「法実証主義」であり、研究の方法は「法解釈論的アプローチ」だ。したがって、この研究の対象はlex ferendaでなくlex lataである。以下、(ⅰ)歴史的権原の代替、(ⅱ)歴史的権原の代替を承認した判例、(ⅲ)独島の歴史的権原の代替、(ⅳ)韓国政府の独島の歴史的権原の主張内容とそれに対する批判の順で論述して、(ⅴ)結論においていくつかの対政府政策代案を提示することにする。


2. 歴史的権原の代替
2.1歴史的権原の概念
2.1.1権原の意義
  領土主権の権原(title to territorial sovereignty)とは、他国家に対する領土主権の主張の根拠(the validity of claims to territorial sovereignty against other states)を意味する(注1)。

(注1) Ian Brownlie, Principles of Public International Law, 5th ed, (Oxford: Oxford University Press, 、

2.1.2歴史的権原の意義
  領土に対する主権の顕示(display of sovereignty)すなわち実効的支配(effective control)が要求されるのは、「権原の代替」(replacement of title)、「権原の取得」(acquisition of title)または「権原の維持」(maintenance of title)のためにだ。
領土主権の権原は時間の経過の軸で区分してみれば、「現代国際法上の権原」とそれ以前の「歴史的権原」に区分される。そのうちの歴史的権原(historical title)は、古典的権原(ancient title)、本源的権原(original title)、封建的権原(feudal title)など現代国際法以前の領土主権の妥当根拠をいう。歴史的権原は前法的主権(pre-legal sovereignty)の権原、すなわち国際法以前の権原を意味する(注2)。したがって、歴史的権原は厳格な意味で法的権原ということはできない。もちろん、歴史的権原が成立する当時に妥当な現代国際法以前の規範も国際法に関連すれば歴史的権原も法的権原といえるが、それは現代国際法上の権原とはいえない。現代国際法は1648年の「ウェストファリア条約」(Treaty of Westphalia)以後に成立したと見るのが一般的な見解であるから(注3)、結局、歴史的権原は1648年以前の近代国家成立以前の権原を意味しているといえる。これは、特定の国家が国家として成立した以後に後続的に増加した(subsequent increase)権原と区別される(注4)。

(注2) G. Schwarzenberger and E. D. Brown, A Manual of International Law, 6th ed. (Milton: Professional Book, 1972), p.96; ICJ, Reports, 1953, p.56; David H. Ott, Public International Law in the Modern World (London: Pitman, 1987), p. 109
(注3) Stephan Verosta, "History of Law of Nations, 1648 to 181" EPIL, Vol.7, 1984,pp. 160-62; B. S. Chimni, International Law and World Order(London : Sage, 1993), p.226; John Westlake, International Law(Cambridge:CUP, 1895), p.59; Gillan D. Triggs, International Law(Australia: Butterworth, 2006),p.10; D. P. O'Connell, "A Cause Celebre in the History of Treaty Making," BYIL, Vol.42, 1967, pp.71-90.;Antonio Cassesse, International Law(Oxford : Oxford University Press, 2001),p.19.; John O'Brien, International Law(London : Cavendish, 2001), p.15;Turan Kayaglu, Legal Imperialism(Cambridge: Cambridge University Press, 2010), pp. 14,27 ;Steven Wheatley, The Democratic Legitimacy of International Law(Oxford : Hart, 2010),p. 124 ;Leo Gross, "The Peace of Westphalia 1648-1948," AIIL, Vol.42, 1948,pp.20, 29 ;J. R. Strayer, On the Medieval Origins of Modem State(Princeton : PUP, 1979), pp.9-10 ;Mark W. Zocher, "The Territorial Integrity Norm," in B. A. Simmons and R. H. Steinberg(eds.), International Law and International Relations(Cambridge ; Cambridge University Press, 2006),p.260 ;Alind Kaczorowska, Public International Law, 4th ed. (London :Routledge, 2011), pp. 11-12 ;Rechard Joyce, "Westphalia : Event, Memory, Myth," in F. Johns, R. Joyce and S. Papahuja (eds.),Events : The Force of International Law(London : Routledge, 2011),pp.55-56 ; Paul F. Diehl and Charlatte Ku, The Dynamic of International Law(Cambridge ; Cambridge University Press, 2012), p.28
(注4) Antonio Tores Bernordez, "Territory, Acquisition," EPIL, Vol. 10,1987, p.498


<コメント>
 抄録の下線を引いた部分を読んで、翻訳意欲があっという間に消えた。


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