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独島の「歴史的権原」 2

2.2 歴史的権原の代替の概念
2.2.1権原の代替の意義
  時際法(intertemporal law)上、権利獲得時の法と権利存在時の法は異なるものだ。権利の取得に関してはその取得当時に妥当な法が適用されるのであり、権利の存在に関しては今日の評価時に妥当な法が適用されるのだ。「権原の代替」とは、歴史的権原を現代国際法によって妥当な他の権原(another title valid by modern International law)で代替(replacement)することをいう。すなわち、歴史的権原がその後の歴史的発展の効果によって代替(superseded)されることを意味する。要するに、古典的権原、本源的権原、封建的権原などの歴史的権原を現代国際法によって妥当な新しい権原に変更することを歴史的権原の代替という。これを「権原の交替」(supersede of title)、「権原の変更」(change of title)または「権原の変形」(transformation of title)ともいう。


2.2.2権原の代替と区別される概念
  権原の代替は新しい権原を取得する「権原の取得」と区別され、既に取得した権原の現状を維持する「権原の維持」と区別される。



3. 歴史的権原の代替を承認した判例
  歴史的権原の代替の法理論を承認した判例を見れば、次のとおりだ。
3.1 The Island of Palmas Case (1928)
  The Island of Palmas Case (1928)でHuber仲裁官は権利の創造と権利の存続に適用される方法はそれぞれ違うと前提した後、法の存在に適用される方法は法の発展によって要求される条件に従わなければならないとして、歴史的権原の代替という用語は使わなかったが、次の通り間接的に歴史的権原の代替の必要性を判示した。

  法的事実はその事実のようにこれは現在の法の観点で評価されなければならない。 …権利の創造行為が権利が発生する時に効力がある法に従わなければならないという同一の原則は、権利の存続、換言すれば権利の継続的な顕示である法の発展によって要求される要件に従わなければならないということを要求する。(注5)

(注5) ・・・・a judicial fact must be appreciated in theright of thelawcontemporary with it, …thesame principlewhich subjectsthe act creative of a righttothelawinforce at thetimetheright arises, demands thatexistence of theright, in other words its continued manifestation, shall follow the conditions required by theevolution of law. UN, RIAA, Vol.2,1949,p.839

3.2 Minquiers and Ecrehos Case (l953)
  Minquiers and Ecrehos Case (1953)で、国際司法裁判所は封建的権原は代替当時の法によって有効な権原に変更されなければ効力が無いと次の通り判示した。


  裁判所の意見では、本件を裁くためにそういう歴史的論争を解決する必要がない(…not necessary to solve these historical controversies)。…フランス王がChannel Islandにも固有の封建的権原を持っていたとしても、そういう権原は1204年及びその後の事件の結果、失効されたことが明らかだ。そのように主張された固有の封建的権原は、代替当時の法により他の有効な権原で代替されたのでなければ今日にどんな法的効果も発生しない。その代替の立証責任はフランス政府にある。(注6)
(注6) such an alleged original feudal title could today produce no legal effect, unless it had been replaced by another title valid according to the law of the time of replacement. It is for the French Government to establish that it was so replaced. ICJ, Reports, 1953, p.56

3.3 Western Sahara Case (1975)
  Western Sahara Case(1975)の勧告的意見で、国際司法裁判所は権原の転換(transforming title)において合意書の機能を次の通り承認した。従前は「権原の代替」において「実効的支配」の機能を認めて来たことに比べて特別な意味を持つ。その勧告的意見は次のとおりだ。

  そのような領土の事件において、主権の取得は無主地の本源的権原による無主地の先占を通じて一方的に影響を受けるものと一般的に考えられていなかった。しかし、地方的支配者と締結された合意書を通じて…そのような合意書は権原の派生的根拠として認められ、無主地の先占によって取得された本源的権原ではないと認められた。(注7)

(注7) in the case of such territories the acquisition of sovereignty was not generally considered as effected unilaterally through the occupation of terra nullius by original title but through agreements concluded with local readers … such agreements … were regarded as derivative roots of title, and not original titles obtained by occupation of terra nullius. ICJ, Reports, 1975, p. 39

3.4 Land,Island and Maritime Frontier Dispute Case (1992)
  Land,Island and Maritime Frontier Dispute Case (1992)で、国際司法裁判所はMinquiers and Ecrehos Case (1953)の判決を引用して、同判決では全ての古典的権原が単純に無視されたのではなく、代替されない権原が無視されて代替された最近の権原に基づいて裁いたものだと次の通り判示したことがある。

  この事件で裁判所は古典的権原を単純に無視したのではなく、より最近の主権の顕示に基づいて裁いたのだ。(注8)

(注8) the Court in this case did not simply disregard the ancient titles and decide on a basis of more recent display of sovereignty. ICJ, Reports, 1992,paras. 343-44

3.5 Territorial and Maritime Dispute in the Caribbean Sea Case (2007)
  Territorial and Maritime Dispute in the Caribbean Sea Case (2007)で、ホンジュラスは歴史的基礎(historical basis)に基づいた伝統的境界線(traditional boundary line)の確認を要求した。裁判所は伝統的境界線を容認しなかった(注9)。伝統的境界線は歴史的権原に基づくものだ。

(注9) ICJ, Reports, 2007, para.259

3.6 Pedra Branca Case (2008)
  Pedra Branca Case (2008)で、マレーシアは「太古から」(forme time immemorial) Pedra Brancaはジョオール王国の主権下にあったと主張して(注10)、裁判所は歴史的権原(historical title)はマレーシアに帰属するが、実効的支配をして来たシンガポールに権原が移転されたと判示した。裁判所は、判決文で歴史的権原(historical title)という用語を使った。国際司法裁判所は次のとおりマレーシアは歴史的権原を代替したことがないと判示した。

  マレーシアは、同島嶼に対する歴史的権原をいかようにも提示することができる。 …しかし何もしなかった。マレーシアはその歴史的権原は明確にしなかった。(注11)

  上の判決で歴史的権原を明確にしなかったというのは、現代国際法上の権原に代えなかったという意味だ。
  上記のもの以外に、歴史的権原はRann of Kuch Arbitration Case (1968)事件判決で認められた。(注12) このように、国際司法裁判所は、歴史的権原は代替当時に有効な法によって代替されなければ効力が無く、代替された以後は歴史的権原は法的に失効することになると判示した。歴史的権原は現代国際法によって代替されなければ法的効力が無く、また、代替された以後に歴史的権原は法的効力がないというのが国際法上の「一般原則」(general principle)と(注13)説明される。国際法上の一般原則は国際慣習法上の一般原則であるから、この研究では国際慣習法と見ることにする。

(注10) ICJ, Reports, 2008, para.48
(注11) Malaysia could somehow show an historic tittle over the island, …whole Malaysia has done nothing … Malaysia had not made out its historic tittle. ICJ, Reports, 2008, para.123
(注12) ILR, Vol.50,p.94
(注13) Peter, Malanczuk(ed.), Akehurst’s Modern Introduction to International Law, 7th (London Routledge, 1987), p.155



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